副業の方が社会保険料を抑えられる?¶
Q: 勤務先企業で出世して稼ぐより、副業の業務委託で稼いで総年収を増やす方が社保の支払額を抑えられる?¶
A: 結論:条件つきで「だいたい正しい」です¶
会社員のまま、副業を"業務委託(=個人事業の事業所得/雑所得)"で増やすなら、あなた自身の社会保険料は基本的に増えません。社会保険料は「標準報酬月額(給与)」と「標準賞与額(賞与)」が基準で、事業所得は計算対象外だからです。
📊 なぜ業務委託なら社保が増えないのか¶
社会保険料(健康保険・厚生年金)の計算基準:
| 項目 | 社保計算の対象 | 説明 |
|---|---|---|
| 標準報酬月額 | ✅ 対象 | 4〜6月の給与平均額で決定 |
| 標準賞与額 | ✅ 対象 | 賞与支給時の額面金額 |
| 事業所得 | ❌ 対象外 | 業務委託、フリーランス収入 |
| 雑所得 | ❌ 対象外 | 副業収入(少額・継続性なし) |
| 不動産所得 | ❌ 対象外 | 家賃収入など |
ポイント
会社からの給与以外の収入は社会保険料の計算対象になりません
⚠️ 注意すべき例外・落とし穴¶
1. 副業が"雇用"の場合¶
副業先でも以下の要件を満たすと社会保険加入が必要:
- ✅ 週20時間以上勤務
- ✅ 月額賃金8.8万円以上
- ✅ 2か月超の雇用見込み
- ✅ 学生でない
2024年10月からの変更
従業員51人以上の事業所に適用拡大済み
複数社で加入する場合は両社の給与を合算して標準報酬月額が決定(「二以上事業所勤務」)
2. マイクロ法人を作る場合¶
法人は原則強制適用事業所:
- 一人社長でも健康保険・厚生年金への加入が必要
- 役員報酬に応じて保険料が発生
- 報酬ゼロでも実務上の取り扱いに注意
よくある誤解
「法人を作れば社保が安くなる」は必ずしも正しくありません
3. 上限(キャップ)の存在¶
| 保険種別 | 上限額 | 備考 |
|---|---|---|
| 厚生年金 | 標準報酬月額65万円 | 今後75万円へ引き上げ予定 |
| 健康保険 | 標準報酬月額139万円 | - |
| 賞与(健保) | 年573万円 | - |
すでに上限帯なら昇給しても保険料が増えない場合があります。
4. 世帯影響(配偶者の扶養)¶
配偶者が被扶養者の場合の注意点:
- 配偶者の年収が130万円以上で扶養から外れる
- パート先で106万円以上で社保加入の可能性
- 世帯全体の社保負担が増加
💰 実例で比較¶
ケース1: 昇給で年収600万→800万円¶
ケース2: 給与600万円+業務委託200万円¶
📈 Monerionでシミュレーション¶
実際のあなたのケースではどうなるか、詳細に計算してみましょう:
✅ まとめ¶
同じ「手取りアップ」を狙うなら、給与アップより"業務委託の副業"のほうが社保負担は抑えやすいのは事実です。
ただし、以下の点に注意:
- ❌ 副業が雇用扱いになる
- ❌ 法人化する
- ❌ 配偶者の扶養要件
これらの例外に触れれば結果は変わります。
📚 情報源¶
- 協会けんぽ - 標準報酬月額・標準賞与額とは?
- 日本年金機構 - 短時間労働者に対する適用拡大
- 日本年金機構 - 事業所の適用
- 厚生年金保険料額表(令和7年度)
- 協会けんぽ - 被扶養者とは?
- 弥生 - 副業と社会保険料
最終更新日: 2025年9月23日