給与アップvs業務委託副業の社保試算¶
Q: 勤務先企業で出世して稼ぐより、副業の業務委託で稼いで総年収を増やす方が社保の支払額を抑えられる?¶
A: 結論:ほぼそのとおりです¶
本業の「給与」を上げたりボーナスを増やすと、標準報酬(月・賞与)に連動して健康保険+厚生年金の保険料が上がります。一方で、副業を業務委託(事業所得/雑所得)で稼いでも、本業の標準報酬は増えないので、あなた自身の社会保険料は基本的に増えません。
標準報酬の考え方
協会けんぽが明記している通り、毎月の給与=標準報酬月額、賞与=標準賞与額で計算され、事業所得は含まれません。
📊 社会保険料の計算対象¶
対象となるもの ✅¶
| 項目 | 説明 | 計算方法 |
|---|---|---|
| 標準報酬月額 | 4〜6月の給与平均 | 等級表に当てはめ |
| 標準賞与額 | 賞与支給時の額面 | 1,000円未満切り捨て |
対象外のもの ❌¶
- 事業所得(業務委託収入)
- 雑所得(単発の副業収入)
- 不動産所得
- 配当所得
- 譲渡所得
⚠️ 注意すべき4つの落とし穴¶
1. 雇用契約の副業はアウト¶
二以上事業所の合算適用
2つ以上の会社で「被用者」になると、2社の給与が合算されて標準報酬が決まり、保険料も増えます。
2. マイクロ法人で役員報酬を出すと逆効果¶
法人は原則社保の強制適用事業所。代表に役員報酬を出せば: - 社保加入必須 - 本業と合算で保険料アップ
3. ボーナスも保険料対象¶
賞与(標準賞与額)にも健康保険・厚生年金がかかります。
4. 家族の扶養「130万円の壁」¶
扶養の注意点
扶養家族が副業で年収130万円以上になると扶養から外れ、家族側で社保加入が必要に。
💰 具体的な試算(2025年度・神奈川県)¶
保険料率¶
年収100万円増の比較表¶
| シナリオ | 社保増 | 所得税増 | 住民税増 | 事業税 | 手取り増 |
|---|---|---|---|---|---|
| 給与UP | 約15万円 | 約10万円 | 約10万円 | 0円 | 約65万円 |
| 業務委託 | 0円 | 約10万円 | 約10万円 | 約2.5万円 | 約77.5万円 |
結果
同じ100万円の収入増でも、業務委託なら約12.5万円手取りが多い
📈 年収別シミュレーション¶
ケース別の社保負担増加額(年額)¶
| 本業年収 | +100万円給与UP | +200万円給与UP | +100万円業務委託 | +200万円業務委託 |
|---|---|---|---|---|
| 400万円 | 約15万円 | 約30万円 | 0円 | 0円 |
| 600万円 | 約15万円 | 約30万円 | 0円 | 0円 |
| 800万円 | 約15万円 | 約26万円* | 0円 | 0円 |
*厚生年金の上限(月額65万円)に達するため増加率が鈍化
🎯 最適化戦略¶
おすすめパターン¶
- 基本戦略: 本業の給与は据え置き、副業は業務委託で
- 節税併用: 青色申告65万円控除+経費計上
- 将来設計: iDeCo・小規模企業共済で所得控除
避けるべきパターン¶
- ❌ 副業でアルバイト(雇用契約)
- ❌ マイクロ法人で役員報酬
- ❌ 本業の残業で稼ぐ
🔧 Monerionで最適化シミュレーション¶
あなたの具体的なケースで、最適な収入バランスを計算しましょう:
✅ まとめ¶
- 社保を増やさずに総収入を伸ばすなら「業務委託」が最適
- 同じ収入増でも手取りで10万円以上の差が出る
- ただし雇用副業・法人化は逆効果になる可能性
📚 参考資料¶
最終更新日: 2025年9月23日