この記事でわかること
- ベストセラー本の要点を「日々の意思決定」に落とす方法
- Monerion(モネリオン)で今年度・翌年度の納税額の当たりを見える化する手順
- 「今、経費を切るべきか」「来期に回すべきか」を数値で判断するやり方
- 実務に持ち帰れるチェックリストと月次運用フロー
※本記事は管理会計・資金繰りの意思決定にフォーカスします。税法の詳細は扱いません(最終判断は税理士等の専門家へ)。
ベストセラー本、こう使う(要点→行動)
『金持ち父さん 貧乏父さん』(ロバート・キヨサキ)
- 要点:キャッシュフローを強くする資産思考。支出は"消費か投資か"で見極める。
- 実践:経費を登録する際、どの将来キャッシュフローを増やす投資かを明文化する。
- Monerion活用:支出を案件・売上確度と紐づけ、投資対効果(受注率・単価・継続率)を後から検証。
短い引用:「お金の流れを理解し、管理することが富を築く鍵である。」
『フリーランスを代表して 申告と節税について教わってきました。』(大河内薫・若林杏樹)
- 要点:経費は"事業関連性の説明責任"。証憑とメモが命。
- 実践:支出登録と同時に「目的/案件名/期待効果」をメモ。後で迷わない。
『お金の大学』(両学長)
- 要点:固定費の最適化と手残り(手元キャッシュ)重視。
- 実践:固定費の見直し+売上強化を月次で見える化し、来月の手残りを先読み。
『貧乏はお金持ち』
- 要点:思考と習慣がキャッシュフローを決める。行き当たりばったりの支出は未来の税負担と不安を増やす。
- 実践:今年度・翌年度の納税額の当たりを先に把握 → その上で支出タイミングを決める。
Monerionでやること(最短ルート)
1) 見込み売上を"確度つき"で入力
- 案件ごとに「金額/発生月/入金月/確度(%)」を入力。
- 確度×金額で加重平均した見込み売上が月次予測に反映される。
2) 固定費と変動費を分けて登録
- 固定費:家賃・通信・サブスク等。
- 変動費:広告・出張・外注・機材等。
- 費用の性格を分けるほど翌期の利益レンジが読みやすくなる。
3) 実効税率レンジを設定(厳密計算はしない)
- 例:20%/30%/33%の3パターンを保存。
- "納税額の当たり"を早期に把握し、資金繰りの不安を減らす。
4) シナリオを複製してA/B比較
- A:今年、設備・広告・学習費を使う
- B:来年に回す
- 各シナリオで月次の手残りと納税見込みを並べ、税額とキャッシュの差を確認。
5) 「経費=投資か?」を案件に紐づけて検証
- 例:学習費¥100,000 → 「来期の成約率+5%」という仮説メモを残す。
- 後から受注率・単価・継続率の実績を照合し、費用対効果を可視化。
数字で直感を掴む:超シンプルな"当たり"の見方
前提(例):
- 今年の見込み課税所得:¥4,000,000
- 来年の見込み課税所得:¥6,000,000(受注増)
- 実効税率:今年20%/来年33%
- 検討中の支出:¥300,000(PC・研修・広告など)
今年使う(A)
- 節税効果:¥300,000 × 20% = ¥60,000
- 実質コスト:¥240,000
来年使う(B)
- 節税効果:¥300,000 × 33% = ¥99,000
- 実質コスト:¥201,000
差分:¥39,000 → 数字だけ見れば来年の方が得。 ただし、今年の支出で受注率や単価が上がり、来年の売上を押し上げるなら、今使う方が総合得もあり得る。 → MonerionのA/Bシナリオで税効果×売上効果の両面を比較する。
3つの実戦シナリオ(仮名ペルソナ)
A)Web制作者:単価アップ狙いの講座(¥80,000)
- 今年20%/来年33%。
- 来期の見積単価+10%を仮設定し、Monerionで来期売上予測を微増。
- 来年に回した場合の節税差(¥8,800)よりも、単価アップの増収が勝つなら今年投資。
B)コーチ:広告費(¥200,000、CPAのブレが大きい)
- 今年20%/来年33%。
- 成約0/1/3件のサブシナリオを分岐。最悪ケースの手残りを先に確認。
- "黒字確率が高い月"に投下する判断がしやすい。
C)カフェ運営:設備更新(¥300,000、月1時間の省力化)
- 省力化1時間×稼働日=追加売上 or 仕込み時間に換算。
- Monerionで翌月以降の売上確度を微増設定し、回収月を見積もる。
- 納税の当たりとキャッシュ残の両方が崩れないタイミングを選ぶ。
"買う前にやる"チェックリスト
- 目的は「節税」ではなく"未来のキャッシュフロー強化"と言い切れるか
- 案件・売上のどこに効くか一文で説明できるか
- 今年/来年/分割の3パターンを数字で比較したか
- 証憑と事業関連メモを同時保存したか
- 納税資金を含む現預金ラインを超えないか(ショート防止)
実務フロー:月1回、これだけやる
- 先月の着地を確定(入金・未入金・ズレ修正)。
- 今月の見込みを更新(確度・単価・工数)。
-
支出候補リストを棚卸し
-
「今年」「来年」「分割」の三択でタグ付け
- 各候補に目的/紐づく案件/期待効果をメモ
- 実効税率レンジで今年度・翌年度の納税"当たり"を確認。
-
A/Bの手残り差を見て意思決定
-
"今年使うなら何月"まで具体化
- "今年は使わない"も数字で腹落ちして決める。
Monerionの導線(読み終えたら、ここまでやる)
- 見込み案件を3件入力(確度%は必須)。
- 固定費・変動費を分けて今月分を登録。
- 実効税率レンジを2~3本作る(20%/30%/33%など)。
- 今年使う/来年使うのA/Bシナリオを複製。
- "納税額の当たり"と"手残り"を見比べ、今月の意思決定を1つ実行。
まとめ:本の"原則"を、月次の"決断"へ
- ベストセラー本は原則をくれる。
- Monerionは、その原則を今日の支出と来期の売上に直結させるダッシュボード。
- 今年度・翌年度の納税額の当たりが見えれば、焦らず・過剰でも不足でもない支出を選べる。
- 数字で迷いを減らし、支出を"未来のフロー強化"に限定する。
次のステップ
免責:本記事は一般的な情報提供であり、特定の税務アドバイスではありません。最終判断は専門家へご相談ください。Monerion(モネリオン)は概算の把握と意思決定のためのツールです。
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