AI活用開発ツールが次々と登場する中で、Claude CodeとSerena MCPの組み合わせは独特な価値を提供しています。実際の使用経験から、これらのAIツールの特性と効果的な活用方法を整理しました。
Claude Code単体の特性と限界
論理性の弱さと視野の狭さ
Claude Codeの弱点は明確です:
- 論理性の弱さ:複雑な処理フローで論理的な穴を作りやすい
- 視野の狭さ:局所的な最適化に集中し、全体最適を見失いがち
これらの弱点は人間が補強することで克服できます。「視野を広げて」という指示が効果的ですが、タイミングが重要です。早すぎると混乱し、遅すぎると修正コストが高くなります。
諦めの早いトライアンドエラー製造機
Claude Code単体では、エラーが発生すると簡単に諦めてしまい、代替案を次々と提案する傾向があります。これは一見便利に見えますが、実際には:
- 根本的な問題を解決せずに回避策を重ねる
- 同じミスを繰り返す
- 文脈を失って一貫性のない解決策を提示する
といった問題を引き起こします。
Pythonによる処理内製化の強み
一方で、Claude Codeには大きな強みがあります:
「その場でPythonを書ける=ほとんどの処理を内製できる」
この特性により:
- 外部MCPの多くは必要なくなる
- 柔軟な問題解決が可能
- 依存関係を最小限に抑えられる
セキュリティ重視の姿勢
Claude CodeはPyTorchなど既知の脆弱性があるライブラリのインストールを拒否します。これは制約でもありますが、セキュアな開発環境を強制する良い仕組みでもあります。
Serena MCPが変えるゲームチェンジ
記憶と文脈の保持
Serena MCPの存在感は大きく、Claude Code単体の限界を根本的に解決します:
- プロジェクトの記憶:過去の議論や決定事項を保持
- 文脈の継続:セッションをまたいでも一貫した対応
- 思考の強制:深い探索を促す仕組み
分散した知識の統合
Serena MCPが提供する知識管理機能:
- 分散した知識の収集
- 重複情報の統合
- 矛盾する情報の調整
- カテゴリー別の整理
- 最新情報への更新
- 共有知識の再分配
これらをローカルでAIが処理することで、開発の文脈を失わずに済みます。
実践的な使い方パターン
段階的なアプローチ
効果的なワークフローは以下の通りです:
- Playwright MCPで実行可能性を調査・クリア
- Claude CodeにPython + Playwrightのコードを書いてもらう
このアプローチにより、実現可能性を事前に確認してから実装に移れます。
AIへの丸投げを避ける判断基準
AIが以下のような発言をした場合は要注意:
「Aファイルを作成した理由を説明します:実際には不要でした。よく考えると、Aファイルは不要です。理由:XXX...」
このような後出しの説明は、AIが十分に考慮せずに作業を進めた証拠です。
特定分野での注意点
Claude CodeはHTMLに弱い傾向があります:
<div>の閉じタグの抜けなど、基本的なミスが発生- 人間がチェックする必要がある領域
人間とAIの協働モデル
人間が補強すべきポイント
- 論理的な整合性の確認
- 全体最適化の視点
- 適切なタイミングでの「視野を広げて」指示
- 特定分野(HTML等)でのチェック
AIツールの組み合わせ戦略
- Claude Code: Python処理の内製化、即座の実装
- Serena MCP: 記憶・文脈保持、知識管理
- Playwright MCP: 実行可能性の事前調査
セキュアで効率的な開発の実現
この組み合わせにより:
- セキュリティを保ちながら柔軟な開発が可能
- 文脈を失わない継続的な改善
- 人間とAIの適切な役割分担
まとめ
Claude Code単体では「諦めの早いトライアンドエラー製造機」ですが、Serena MCPと組み合わせることで、記憶と文脈を保持した質の高い開発が実現できます。
重要なのは、各ツールの特性を理解し、人間が適切なポイントで介入することです。AIツールは進化していますが、人間の判断と指導がなければ、その真価を発揮できません。
セキュアで文脈を保つAI活用開発は、適切なツール選択と使いこなしによって実現可能な、現実的なアプローチなのです。